(質問記事番号 【1411652】 投稿月 8月)
「××」さま
まず、お話のように、演習を続けていくことで一定の解消はみられるようになります。ただ、その際に、あまり、なんでこんな問題ができないのか、というような「顔」を絶対にしないようにご注意ください。前から申しますように女の子は親の顔色をほんとうによく見て理解します。言葉のちょっとした表現にも敏感です。
何度も繰り返し強調しておきますが、心の中で思っていても態度には出ていない、というのも親の「思いこみ」で、心の中のことも必ずあらわれますし、子どもはかぎとります。まず、心の中から、「なんでこの問題の意味がわからないのか」とも思わないようにしてやってください。
そもそも、題意がくみとれないことによる失点、というのは、けっこうあることなのです。そういうことがある、という前提に立ってやってくださいね。
さて、前からいうように、入試は、一部の学校をのぞけば、どこの学校でも出題されるようなものが7割、その学校特有のもの3割です。
塾でおこなう平常やらベーシックと称される定常の講座は7割の部分の力の涵養です。そして志望校別の対策で3割を仕上げるわけですが、「出題の問われ方」というのは「志望校特有の3割」の部分です。
受験を予定される学校の「設問」の問い方などを過去問でざっと目を通してください。お子さんがひっかかるようなタイプの「問い方」はありますか? もし、なければ、まったく気になさる必要はありません。
問い方などの「形式」の部分は、「いろいろな問題」に当たることではなく、受験予定校の過去問など「限定した問題」に当たることによって訓練すべきなのです。
もちろん、ご懸念されるように「いつ出題傾向が変わるかもしれない」とお思いかもしれませんが…
国語の場合は「出題傾向・内容」は変化しても「出題の設問形式」が変化することは稀である、ということをご留意ください。
出題に変化がみられるときは、
A.学校が説明会であらかじめ発表されたとき
B.出題者が変わったとき
C.入試日が変化したとき
の三つです。
(Aの場合) 難度に関するものがほとんどで、たいていの説明会では、過去のものを大きく逸脱することはありません、平均点は○○点くらいになるようにします、という説明が為されます。かならず説明会で「変化」は予告されます。
男子校の例ですが、昔々東大寺が、記号選択ばっかり出題していた時期があったのですが、説明会で、「記号選択ばかりではなかなか記述力がみられないので」という話が出た翌年、字数制限のある記述が付加されるようになりました。傾向変化のときは必ず示唆があります。女子校の場合は、どこの学校もきわめて穏当なもので、伝統校とよばれるところほど変化はありません。とくにとくに国語は、よっぽどの事態の変化がないかぎり形式上の変化を出しませんし、かならず説明会で「予告」します。
(Bの場合) これはやや問い方に変化が出てもおかしくはありませんが、新しい作成者こそ、前例踏襲からまず入ります。作成者の心理は不思議なモノで、新しいものをつくるぞ、という意気込みがある反面、かならず前任者や過去の問題から大きく逸脱しない、という意識が働きます。内容は変えても、だからこそ形式は変えない、ということになります。問い方は同じで内容をかえる、というわけです。
(Cの場合) これが「形式上」の変化をもたらします。統一入試日と併願可能日の国語の形式上の問題の差異をざっくり説明しますと、統一入試日は「記述が多く」、併願可能日は「記号が多く」なります。
採点上の問題ですよね。いくら作成者が記述をみたくても、受験者が1000人を軽くこえると実質上採点が期限内にできません。記号選択が多くならざるをえなくなりますし、その分、時間制限内に解答させる量を多くして能力を問う、という形にもっていかざるをえません。統一入試日が「じっくり思考型」が多いのに対して併願可能日は「処理能力・知識型」が多いといえそうです。前者は「文章易・設問難」、後者が「文章難・設問易」ということもいえます。
これらをふまえた上で、まずは受験予定校の説明会にいき、「例年どおりです」の言質を得たならば、過去問をみて「形式上の子どもとの適正(「設問相性」)」を確認し、内容上の変化は7割の部分の学習で対応し、形式上の慣れは3割の部分でつけていける、と、ご理解ください。
子どもにとって入試問題には「内容相性」と「設問相性」があって、男子は「内容相性」に左右され、女子は「設問相性」に左右されます。
申しましたように、いろいろな問題形式に当たるより、その学校の形式にたくさん当たる、という方法で学習していってください。あまり深刻に考えられなくても、志望校別の学習を通じてクリアしていきますから家庭学習の中で意識的になんとかしよう、と思われすぎないようにご注意くださいね。