(質問記事番号 【1412077】 投稿月 8月)
「××」さま
重複質問など気になさらず、お気軽にお声がけくださいな。時間があるときに後からゆっくり他のレスもお読みください。
さて、読む速度が遅い子、たくさんいます。
まず、あまり速く読むことを強いないでやってください。かえって解ける問題も落としてしまうようになります。
とりあえずは、読める範囲で失点しない、というところでかまいません。模試は、実際の入試よりも、一割から二割、分量も多くかつ、中間レベルに位置する問題よりもやや難しいめに設定して作題します。
関東の塾の模試は、広く浅くいろいろな学校のタイプに適合するように見事に作成されています。
実際にお子さんが受験する学校の問題ならば、時間内に解ける、という場合もありますから、ふだんの模試で「遅い」、だから速く読めるようにする、と、もっていってしまうと、申しましたように「できる子」が「できなくなる」原因の一つとなります。
国語が得意な子がある段階で苦手になる場合は、時間の短縮を強いた訓練をしすぎたときです。ですから苦手な子ならばなおさらです。
とは、いうものの一定時間に解かなくてはならないのは入試の常態… しっかりと読解力をつけてやらなくてはならないことも確かです。
まず、入試の読解の基本を申しますと…
文学的文章の場合、まずは気持ちをあらす言葉に留意していく。事実・行動と心情をしっかり詠み分けていく、そして何が登場人物の気持ちを変化させたのか、マイナスからプラスへ、プラスからマイナスへ、その変化をもたらしたものに留意する… そして理由をあらわす「のだ」「のである」などの文末表現にも気をつけていく…
読みながら、あるいは読み流しながらも、こういう点、こういう表現がこめられた場所はしっかりおさえていく…
説明的文章の場合はまず「指示内容」の明確化。指示語が出てくるたびに、ふだんの読みでは何をさしているか意識させる、指示内容をおさえない読み流しは文脈を見失います。そしてその上で「しかし」「だが」などの逆接語の後ろの表現、「は」という他と区別する副助詞をふくむ文を意識させる…
などなどをふまえた上で…
前にもレスしましたが「読む」ことと「書く」ことには深い関係があります。作文力を高めると読解力があがるのです。低学年の学習など、ついつい読むことを重視しがちですが、短文作成や日記的な一行作文など、書く力を養成しておけば読む力は同時に涵養されるのです。
低学年の子の場合、うっかり作文しろ、というと単なる事実の箇条書きになってしまう子、たくさんいます。そんなんじゃないでしょっ へんでしょっ ばっかり言うてしまうと作文嫌いになって、進歩しません。「表現補助」をしてやるんですよ。
ケーキ(動物・植物・色)なら( )が好き。
なぜなら( )だからだ。
こういう感じで「具体化」と「なぜなら」の使い方を定着させます。
抽象から具体へ、そして理由を説明する、という作文訓練をするだけで、説明的文章の流れの「鋳型」が頭に入ります。
幼稚園のとき、( )だった。
でも、いまは( )だ。
という作文の表現補助も有効です。「でも」という逆接語の使い方がわかるのです。「でも」をわからせるには、「でも」そのものより、その前後の作文を考えさせるほうが近道なのです。
言いたいことが逆接語の後ろにある、というのが自然と身につくわけです。
さて、お子さんの場合、もう六年ですが、これを少し応用し、記述題の模範解答の一部を空欄にして、埋めさせる、という「解答補助」から入ってもよいと思います。答えやすいし、文章中からも探しやすくなり、問題演習量も増えます。記述の多い学校の過去問演習や類題演習はこういう方法を加味してやってください。
そうすることでその模範解答の「表現方法」も身についていきます。
読解が速い子は、読むのが速い、というより、要点をつかむのが速いのですよ。「鋳型」をもっているから、あ、ようするに言いたいのはこれね、と、なっているのです。
「読むことが速い」子は、実は「書くことが速い」子でもあります。
読むのが遅い子は書くのも遅いのです。読解と作文は深い関係があると申しました。いっけん迂遠なようですが、新聞のコラムくらいの文章を「書き写す」という作業をさせてみてください。速く書き写す訓練から入ると読書速度も上げられます。作文訓練ができている子は、読むのが速い… 書き写しながら、指示語の内容がわかっているか、逆接語の後ろは何と説明されているか、「は」を含む一文は主張がある、など意識させていくのです。書く速度も、あわてさせる必要はありません。今より速くなったかな、という手ごたえで十分です。
それから、一度、お子さんの「読む」速度の時間を計測してみてください。制限時間内の何%ぐらいを「読み」に使っているか、何分間、問題を解く時間が残るか、あらかじめ計算しておくのも大切です。
意外と、考える時間は一定時間確保できるかもしれません。五分間、というのはけっこう長いもので、漢字や語句の問題抜きで、読み:解き=1:2、の配分で解けるように持ち込めば50分制限の入試ならば何とかなると思います。
何か追加質問があればどうぞ。