(しろくまさん【1874260】 2010年10月)
「××」さま 3教科校をめざしていて4教科に変更したみなさま また、社会の追い上げを考えているみなさま
おぼえれば、たしかにすみます。でも、やはり、能率、とまではいいませんが、無駄なくうまくまとめていくことは大切です。
とくに3教科受験をめざしていて、4教科に変更、という場合、たいていは、3教科のどこかの分野にも問題はかかえていて、それを補強しつつ、社会にも取り組まなくてはなりません。
「追い上げの秋」だからこそ、今まであまりまとまってお話ししてこなかった「社会」のことも、もう少しツメておきますね。
① うちの子は社会が得意だから、4教科受験が有利、というのは正しいのでしょうか?
この考え方は、要注意です。社会が得意だから4教科校を受験してもだいじょうぶ、とは、説明できますが、有利である、とまでは思わないでください。
なぜなら、4教科校には、もともと社会ができる、という子が集まるからです。得意な社会はがっぷりよつに組んでいる、という状態ですから、やはり3教科の苦手な分野をしっかり秋にまとめたものが有利になります。
② 社会が得意、ということと、歴史が得意、ということを混同していませんか?
前に申しましたように、私立の社会の先生のお話を聞くかぎり、「歴史はよくできているのですが地理が得点できていません」というのが入試の社会の「傾向」なのです。
社会が得意な子が集まる4教科校で、歴史が得意な子は、実は、「差」をつけることができていないのです。
秋はしっかり「地理」に取り組む、ということをテーマにしましょう。
③ 志望校の社会の傾向を自分でせずに、それを塾まかせにしていませんか?
え? そんなの塾がやってくれるのでは? と、思われるかもしれません。でも、4教科校って、わりと、複数の学校を対象とした志望校別の特訓にされているケースが多いんです。
東大寺や星光などになると「1校1コース制」になっている場合がありますが、高槻・明星・関大一・同志社などになると、他の学校と組み合わされていたりします。そういう意味では、社会の、志望校の特徴へのアプローチが甘い講座の塾もありますよ。
いや、場合によっては、「東大寺・星光コース」「洛南・洛星コース」みたいな、組み合わせのコースもあります。
志望校別、と銘打って指導するのに、社会がまったく形式と傾向が違う学校を組み合わせている場合も少なくありません。
そこで以下のチェックを「自分で」してみてください。
A 地理で、過去6年間、「世界地理」が出ているかいないか?
B 地理は、産業別なのか地方別なのか?
C 正誤問題中心か、記述式中心か?
D 時事問題が出ているか、いないか?
E 公民分野は、過去6年間で、「国際連合」を出題しているかいないか?
実は、これは、たびたび紹介するしろくまの後輩の演説がうまい社会科講師が、志望校別に取り組むに当たって、受験生にしっかり認識させていた5項目なんです。昔のしろくまノートにメモがされていましたから紹介します。
(Aに関して)
検定教科書で、じつは、日本とかかわりの深い国、ということで「アメリカ」「韓国」「中国」「オーストラリア」「ブラジル」「サウジアラビア」が取り上げられています。これらの国は、しっかり調べて、とくに貿易統計はもちろん、地図で場所なども確認しておかなくてはいけません。国旗なども知っているでしょうか?
これは中学できれいに分かれるポイントなんです。世界地理を出す学校、出さない学校、はっきりしているんですよ。過去問でよく目を通しておかないと、本番、大きな失点部位になります。
(Bに関して)
いっぱんに女子中は「産業別」が多くなっています。検定教科書からの出題が中心だからです。兵庫県の女子の学校は、まずしっかり「産業別地理」をまとめておかないと、九州地方、中国四国地方、というようなまとめ方をしているとたいへん能率が悪くなります。
また、高校入試問題をかんたんにしたら中学入試になるんでしょ、というコンセプトの私立もあります。わりと新興の私立にこの傾向がみられます。受験予定校の過去問をみて、どちらに傾斜しているか、しっかり見ておかないと、本番、大きな失点部位になります。
(Cに関して)
「虫食い」型の小テストに慣れている場合は要注意です。秋はやはり問題演習を通じて「形式」に習熟しておかなくてはなりません。お通いの塾では、社会の問題演習の時間がありますか? とくに正誤問題は数をふんでおく必要があります。
(Dに関して)
これは学校の説明会で、教科別に先生が出てきて説明される学校の場合は、是非、参加してきてください。はっきりと説明会で「うちは時事問題を出します」という宣言をされる学校があります。また過去問をみれば、すぐにわかることです。ただ、ここで注意してほしいのですが
「を」型か、「で」型かを、しっかりと見極めてください。
たとえば、今年、参議院議員選挙がありました。その話「で」、国会のしくみや選挙の問題を問う場合ならば、別に、「時事」を知っている必要はありません。
しかし、その話「を」問う問題の場合は、「時事」そのものを知っていないと対応できないでしょう? 最大議席の政党はどこ? 首相は誰? ということまで知っておかなくてはなりません。
関西は「で」型が多いので、それほど細かく調べなくてもよいのですが、志望校が「を」型ならば、こここそ得点源にできるでしょう? 出ることがわかっていることに取り組まない愚は避けて当然です。
(Eに関して)
これも、実は意外と重要な視点なんです。しろくまの時代は、三月入試でした。ところが一月入試、ということは、三学期の授業はしていない、ということになります。私立中学によっては、そういう子どもの「学校教育の状況」を「配慮」して、三学期の学習内容、つまり小6の下巻の教科書の後ろのほうを出題しない学校もあるんです。
それは、どうやって素人が判断できるか、というと、「国際連合」の出題の有無をみればよいのです。過去六年間で、国連関係の出題がない場合は、三学期の学習範囲を出題していない、という学校であることがわかります。
この時期、社会の学習で、「どうしよう」という焦りを感じられる保護者も少なからずおられると思うので、ちょっと何かしらの勉強の「つかみどころ」をお話しさせていただきました