(質問記事番号 【2300066】 投稿月 2011年10月)
「××」さま
女子の算数には苦手の「細かな山」と「大きな山」があります。その「大きな山」が
「速さ」と「立体図形」
なんですよね。関西では、進学校の場合は、「男子中・立体図形難・女子中・平面図形難」という難問の特徴があります。
ちょっと関東の塾の受験戦略がしろくまにはみえにくいところはあるんですが、だいたい関西ですと、10月以降の模試は、男子難関校用に定期の模試でもシフトしていき、女子中をめざす者にとっては、ちょっとへこたれてしまう難問、ことに立体図形がかなり出てきます。入試でも大問6つのうち、3つが立体図形、という学校もあります。立体切断や水を入れてかたむける、くらいのものは女子中でも出ますが、難関男子中は、それを「なんでそんな切り方すんねんっ」「そんな容器、どうやってつくって水入れるねんっ」みたいな、問題のための問題設定がされた難問が出てきたりします。
算数で困ってしまう女の子… たくさんいますよね。わりとつらいんですよね…
「こんなん補助線こう入れたらとけるっ」
「こんなん、いつも言うてる○○を使ったらとけるっ」
とか講師は言うて、すぱっと解いてみせるんですけど、女子の中には心の中で
「だから、それをどの問題やったら使えるかがわからんっちゅ~ねんっ」
と、ツッコミ入れている場合が多いんです。
「そうしたら解けるのはわかる、でも、それを思いつくにはどうしたらよいの??」
そうなんですよ。解き方や公式や裏技はたくさんわかっているんですが、どの問題やったらそれが使えるか、が、「つながっていない」んですよね。
単元別学習で、難問をずっと解いていく、ということの「弊害」とまでは言いませんが、「落とし穴」の1つです。
図形に関しては、ちょっとまとまった一日(祝祭日でもよいので)をとってもらい
A 遡って戻ってくる学習
B 実際に図形を自分で描いていく学習
C 過去問に特化した学習
D 比の問題、分数中心の計算練習
で、もっとも「古典的な」パターン認識に持ち込む、という方法ですね。
Dについては、図形を解くときに使うツールの訓練。できる問題をできるだけたくさん解いておく、ということですね。これは毎日の計算練習代わりに利用していただければよいので、とくに注意点はありません。(いまの時期、分数を含まない計算練習などされていないわけがないので、比の問題の平易なものは加えてやっておきましょう。)
さてさて、Aに関してです。お通いの塾では、一番最初に「図形」の問題が開始されたのは何年でしょうか?
一度、その学年の小テストから(あるいはその学年の模試の図形から)、どんどん「易問流し」をしていくんです。(これは理科なんかでもうまくいきます)
え~ そんなんかんたんやって というところからどんどんやっていきます。おそらく、もうわかっているよ、というようなところからあえてずっと流していきます。
どこかで、「おや?」と、とまる部分が出てきます。そこからの「掘り起こし」です。
そもそも立体図形というのは、トータルな算数の「技」の総合で解くものですよね。図形を解くときに使う分野のどれかが欠けていても、なかなか得点には結びつきません。
ずっと過去にもどって、解きなおしていって、「嫌いだから」「苦手だから」と、ちょっと回避していて演習不足になっていた「時代」があったかもしれませんからそれをチェックしていってください。
Bに関してですが… これは、たとえ問題集やテキストに解くべき図形が描いてあっても「家庭学習」や「塾での自習」中は、問題の設定にあわせて、自分で描いてみる、という「訓練」です。
わたし絵が下手で…
という子ほど、立体図形で困ります。上手い下手ではなく、条件に描かれているものを丁寧に一度再現してみせる、というだけでよいんです。
友人の女性算数科講師は、「コップに水が入っている絵、描いてみて」と、まずやりました。「オッケー、みんな描いたかな? じゃあ、次はそれをかたむけたときの絵を描いてみてぇ~」とやりました。
立体図形の講義の「まくら」はたいていこれをやっていましたね。
サイコロ描いてぇ~ 8つ描いてぇ~ タテに8つつんだ絵、描いてぇ~ 次、それ8つ積んでできる大きなサイコロの絵描いてぇ~ はい、そこから1つサイコロとった絵描いてぇ~
と、やってました。おもしろかったですよ。(一度お子さんにもやらせてみてください)
定規とコンパスで、問題の描かれている図形を描いてから、考えて解く…
これはもちろん模試や本番でもそうする、という意味ではありません。「ふだん」の思考のときに、それをやっておく、ということです。
本来なら小5くらいでこれを徹底しておくとよいのですが、今からでも遅くはありません。立体が平面で表現される、とはどういうことなのか、を、「図を自分で描く」時間を「わざわざ」とってみてやらせてみてください。
もちろん、模試や本番では、そこに使われている図を用いたらよいのですが、実際に自分で絵を描いている、という訓練をする中で、「補助線がみえる」ということが起こるのも確かなんです。
Cについて。
これはもうハッキリしていて、お子さんの受験予定校の「図形」とくに「立体図形」がどのような出題がされているかをしっかりと調べて、それをふまえてABを徹底する、ということになります。
立体図形は、もっとも「出題者」および「学校」の個性がよく出てきます。また、入試問題全体の中で、その「立体図形の位置づけ」がどういうものなのかを塾の算数の先生によく評価しておいてもらってください。
「解けなくてはいけないもの」
「解けなくてもよいもの」
というざっくりとしたものでよいのです。しろくまは「捨て問」という言い方は嫌いなのですが、「後回し問題」「結果としてできなくてもよい問題」というのはあると思っています。学校によっては「立体図形」の問いを「うちはそれなりによくできる子が受けるから、こういう問題も出しておかないとね」という「意図」から出題されているものもあります。結果として正答率が10%未満のもの、て、ありますよね。
学校さんによっては、設問の正答率も塾に教えてくださっているところもあるので、その点がわかれば、正答率30~50%の問題は絶対に解かなくてはならない問題、という目安にはなります。
志望校の過去問で、「解けなくてはいけない」図形に特化した学習
ということをしていきましょう。ですから、「今まで間違えたものすべて」ではなく、一度それらを算数の志望校担当の先生に持ち込んで面談(できたら親子-講師の三者面談)する、で、そのときに「分類」してもらって講師の声で、「ああ、これはできなくてもよいやつだよ」という一言を聞かせてやってほしいんです。
安心と同時に「これはがんばって解くぞ」というメリハリもついて学習効率もあがりますからね。
何か追加質問があればどうぞ。