(質問記事番号 【1462182】 投稿月 10月)
「××」さま
今からできること、たくさんあります。まだまだ、お子さんに適した方法をみつけておられなかったり手をつくされていなかったりするところ、あると思いますよ。
得意にすることはかなわずとも、国語で不合格にならないところまでなんとか持ち込めるようにしろくまも応援しますね。
これからの時期、「時間のレイアウト」ということが小6の場合は大切になります。
国語の場合、時間が足りなくて書けなくなった、家でやらせたらできた、というケースは前からよくいう「学習環境の不一致」が原因の一つですが、その「学習環境の同一化」というのは、ある点、「習慣の正常化」とかかわる部分で、即効性の高いものではありません。もちろん、小6の今からでもそういうことはやっていただくとして…
時間のレイアウトは二つで考えます。
一つは家の時間の使い方、そうしてもう一つは模試や本番での時間の使い方です。
今回は後者の話を中心に進めますね。
模試や本番での時間のレイアウトですが、一つは「要領の悪さ」で括られがちな「レイアウトのまずさ」があげられます。
でも、実はここに落とし穴があって…
「時間のレイアウト」とは「設問のレイアウト」と一致させることで、これがうまくいった場合は要領がよい、一致できないと本番で失敗… ということになっているのです。
設問の概略を見ずに前から順番に解いてしまう…
何も一問めから解く必要はないのに、なぜか頑なに一問めから解いていく子、います…
「最初に漢字の書き取りやって、それから設問見るねん、どんな問いがあるかな、と、思ってから、できるやつからやれ」
と、まあ、ふつうはこういうせまり方をします。
ところが実は、どんな場合でも、そういうやり方が適しているとは限らないのが国語の入試です。
国語の入試問題は「漢字の書き取り」は
A 文章中に下線が引かれていてその読み書きを問う場合
B 書き取りだけ別の大問として独立している場合
Bの場合は、「読み書き」から解いていきましょう。
国語は一部の入試をのぞいて、第1限目にあります。なぜか? 採点がたいへんだからです。ところがこの1時限目というのは子どもにとって「緊張と不安の出だし」の部分です。このときに比較的精神の平常と広角レンズ的なモノの見方が大切な国語という教科をするのは、子どもにとってはけっこうつらいことなのです。
緊張しない子もいますが、比較的、あがり性の子は、問題を解きすすめていくうちに調子が出てくる場合があり、1時限がすんだころに、つまり一つの教科がすむと本調子になる場合が多く、そういう意味からも「国語は家でやったらできたのに」という現象をみせやすいときもあります。
なので、本調子を回復する意味でも、まず、「作業」で解決する問題から解いていかせるのがうまい「時間のレイアウト」です。
さて、A型の場合ですが…
実は、国語の入試作成者の多くは(出題者の先生の多くは)そんなに意地悪ではありません。塾講師時代に親しくおつきあいさせていただいた先生方もおられて、いろいろお話しを伺えましたが、そんな不合格にしてやる、とか、難しい問題で困らせてやるっ みたいな感覚で作成されている方、一人もおられませんでした。ほんとうによくみなさん作成段階で会議をされて、この問い方では小学生はわからないだろう、こういう採点をしてやったほうがよい、と、受験生のことをよく思いやっておられます。
で、ある難関中の先生のお一人が、
「順番に解いていく過程でわかるように作っています」
とおっしゃられていたことがありました。
最初に書き取り、次に指示語、そして空欄入れ、段落の内容、全体の要旨…
こういう設問のレイアウトの場合、実は、このまま前から順番に解いていけばよいのですよ。
この流れで時間を使えば、とくに最後の問題が「わかりやすく」なってくる、という「仕掛け」です。
たいていは、最後に「目玉」の要旨や心情説明の記述があります。むろん配点も高いめに設定されています…
下手にこれからやれ、この順番で解けっ と、子どもにせまりすぎると、よけいにそれが原因でミスや時間の配分に困る場合もあるのです。
ただ、最初に設問の概略をみる、ということは徹底させてほしいところです。低学年はまず「読んでから解く」という正攻法のクセをつけておくとして、小6の今はテクニカルな読み方、つまり、要旨や心情説明の問題だけは先に「どんなことが問われているかな」と見てから、順番に「前から」解いていく、というのも正しい時間の使い方になります。
今からの時期は、裾野の広がりではなく、頂点の絞込みが大切な時期です。しろくまは徹底的に志望校の入試問題主義です。受験される志望校の「国語の形式」を熟知されて、それに合わせた「時間のレイアウト」を考えてください。
とはいえ、要領の悪い子は徹底して悪い…
一つのレイアウトの目安としてですが… 大人ならわかるあたりまえのことなんですけれど…
1文章の問題数確認、というのは大切です。
1文章につき、たくさん設問があるものと、四問くらいしかない問題があります。どれも設問がどんなものか、概観するとして、前者は内容を問う設問がどんなのか見てから前から解いていき、後者はまず本文をしっかり読み込んでからとりかかったほうがよい、という場合が多いようです。
最後に質問ですが、志望校別の模試はお通いの塾が提供しているモノですか、それとも別の大手の塾のものですか?
ふだんから国語が苦手で今回もそうだったのか、今回とくに悪かったのか? 説明的文章と文学的文章、どちらが苦手かあるいは両方か? 白紙の記述がどんな設問だったか、つまり、心情説明であるとか要旨を問うものか、など、お教え願えませんか?
(保護者よりレス 割愛)
「××」さま
なるほど。まず、楽しまれて読んでしまう、というお話ですが、実はそれは悪いことではありません。国語が得意な子の一つの要素を持っておられるので、おそらく基本的に国語ができない子の体質ではありません。伸びる素質があります。大学入試や高校ではまず間違いなく国語で困ることはないくらいに成長しておられますが、何せ目の前に受験がせまっています。先はともかく今、なんとかしないといけませんからね。
実は、中小塾のメリットとデメリット、大手塾のメリットとデメリットがもちろんあるのですが、たとえば中小塾の場合、理解を深めてくれて子どものペースでうまく育ててくれるというメリットはたいへん大きく、国語はわりと効果があります。ところが、問題演習や訓練など「競争」という環境や志望校に関する客観データの量などは大手塾がたくさん持っている…
ベテランの船乗りは多いが機材が最新式でない航海に似ていて、一長一短があります。
お子さんの場合は、志望校に特化した模試や時間の処理を必要とする実戦訓練が不慣れで、そのような結果になった部分もあったと思います。これは入試までには何とか間に合って解決できるところですよ。しばらく、大手塾の模試など複数経験させてみてください。
実は、このスレはスレ主さまのおかげでパートⅡになり、長くみなさまとおつきあいさせていただいているのですが、この前のスレの中でよく似たケースのお話をさせていただきました。機会があれば目を通していただくとして、とりあえず、お話しさせていただきますと…
まず、「ツッコミ」型の問題への向き合い方になっていて時間がかかったり正解にならなかったりするケースのようですね。
「こんなんありえへんっ」「これはおかしい」「おれの意見はちがう」と、そういう「思い」を持って、それを主張してしまうと、国語の問題、とりわけ文学的文章は正解しにくくなってしまいます。
国語の問題で得点できる子は、「自分はこう思うのだが、おそらく作成者はこう答えたいのだ、こんなのは非現実的だが子ども向けの物語だからこれが答えでしょ」と、思って解答できる子でもあるのです。お子さんの場合は、最後の「わりきり」に至っていないだけで、解ける前提はそろっているハズです。
今からでもおそくはないので、一度、お母さんもいっしょに問題を解いていってみてください。
「親音読・子黙読」という形式で、すべての問題をやらなくてけっこうですよ、心情の読み取りだけ、理由説明題だけ、などテーマを決めて解いていくのです。途中でいっさい「ツッコミ」は入れさせず、黙読に徹する…
あなたはこう思うかもだけれど、作成者の求めるのはこれだ、という「鋳型」造りをしっかりしてやらないと、なかなか解答には結びつきません。
前からよくいう方法は、とくに心情の読み取りなど、「さっぱり理解できない」という子の場合、模範解答の逆流法を徹底的にやっていきましょう。
あなたの考えなどどうでもよい、作成者がどんな答えをのぞんでいるのか、模範解答はこう書いてあるのよ、どうしてこうなるか、それが示す部分をみつけていきましょう、と、もっていってやることが大切になります。
で、それと並行して、「速く書く」訓練をさせます。
実は「読むのがおそい子」は速く正確に書く訓練をさせると黙読速度が上がるのです。速く読むことを強いると表面的な読み方になり、とくにお子さんのように「楽しんで(実は深く読むことに通じている)」読んでいる子にとっては逆に読解力を奪ってしまいます。
新聞のコラムくらいの長さのものを用意して、書き写した後、要約してみなさい、という訓練をします。
で、「書き写し方」をみてほしいのですが、苦手な子の場合、手の止める場所が、文節の切れ目などではなく、とてつもない場所で切りながら写す子がいるのです。単に「写す」だけになっている…
しっかり、ちゃんとした文節で切らせる… でも、苦手な子は文節ごとに本文を見て書き写して、また、文節ごとに本文見て書き写して… と、「細切れ書写」になっている…
一文(書き出しから句点まで)くらいおぼえて書き写していけなくてはいけないのです。「一文の短・速書写」がしっかりできていて初めて「しっかり読めている」といえるのです。ふだん読みとばしをしている子は、確実に「一文短速書写」ができません。
新聞コラムの書き写しなど小6ではその時間も惜しい、と、なるのもわかります。時間がとれない場合は、長文の記述の設問がある問題をセレクトし、模範解答逆流法と組み合わせて、
一読後、いきなり
① 模範解答をみせる
② 模範解答を書き写させる
③ なぜその模範解答になるかわかるか考えさせる
④ そうなる理由がわかる部分を抜き出させる(線を引かせる)
ということをやってみてください。
模範解答の書き写しなどは、見て書いて見て書いて、のような細切れにはさせず、一回見て書写できるようにしていく…
黙読速度を上げつつ、問題のどこの部分に答えが隠されやすいか理解できる一石二鳥の方法です。
もっと丁寧にやらせたいのですがなにぶん小6の今の時期、国語ばかりに時間が割けないと思うので、こういう方法を取り入れてみられてはどうでしょうか。
しろくまとしては「問題文読書」ができて楽しめる子は上達が速かった、という記憶があって、お子さんはまだまだ見込みアリ、と、思えます。楽しんで読むスタイルをくずさず、かつ、テクニカルに割り切って国語に向き合わせてやる、ということをしてやってください。
何か追加質問があればどうぞ。