~小学生のみなさんへ~ しろくまの韻文の話⑤
前回の問3の答えを書いておきますね。
1 看板 2 こわす 3 がんばった(がんばっていた) 4 つくる
さて、次は「短歌」をやってみようかな。
短歌は日本が世界にじまんできる美しい詩なんだよ。五・七・五・七・七でまとめていく。
短歌は別名三十一文字(みそひともじ)って言うんだよ。これらの数字の足し算で31字になるでしょ?
(1)句切れ
意味や調子のうえで大きく分かれるところを「句切れ」といいます。これも入試ではよく出るんだよね。
もちろん、「句切れ無し」というものもあるよ。
あたらしく 冬きたりけり / 鞭(むち)のごと 幹ひびき合ひ 竹群(たけむら)はあり
宮柊二(みやしゅうじ)の短歌です。
☆ 「けり」があればそこで切れる(他にも「や」があれば切れる)
と、おぼえておいてもよいよ。これは「五・七 / 五・七・七」で切れているから「二句切れ」といいます。次はわかるかな?
友がみな われよりえらく 見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ
これは「三句切れ」です。「友がみな われよりえらく 見ゆる日よ」というように
☆ 「よ」など「呼びかけ」があればそこで切れる
と、おぼえておいてもよいかな。では次はどうかな?
曼珠沙華(まんじゅしゃげ) 昨く野の 日暮れは なにかなしに きつねが出ると思ふ 大人の今も
垂乳根(たらちね)の 母が釣りたる 青蚊帳(あおがや)を すがしといねつ たるみたれども
これはどちらも「四句切れ」なんだ。
「大人の今も きつねが出ると思ふ」「たるみたれども すがしといねつ」
というように
☆ 倒置になっているところで切れる
と、おぼえておこう!
「たらちね」というのは「枕詞(まくらことば)」といって、もともと意味はあるんだけれど、ある特定の言葉の前に飾られる言葉なんだ。ここでは「母」にくっつく言葉です。訳すときは訳さなくてもよい言葉。
あおによし 奈良の都は 咲く花の におうがごとく 今さかりなり
「あおによし」は、もともとは「青丹よし」、つまり、宮殿の瓦(かわら)の青色と、柱の丹、つまり朱色がたいへん美しい、という意味があったんだけれど、そのまま「奈良」にくっつく言葉になりました。
「明日香村」というところが奈良にはあって「あすか」と読むけれど、「飛鳥」と書いて「あすか」と読む場合があるのを知っているかな? これはもともと枕詞で「とぶとりの」という言葉があるんだよ。明日香の枕詞が昔は「とぶとりの」で「とぶとりの明日香」。で、「飛ぶ鳥」と書いたら昔の人には、「あ、明日香のことだね」と分かったから、転じて地名の読みになったんだよ。
「すがしといねつ」って、むずかしい表現だよね。これは「すがし」は「すがすがしい」、「いねつ」は「ね」が「寝る」という意味で、「寝ました」ってこと。
さて、次回は、一つの短歌をじっくり解説してみます。というのも、過去15年間123校の中でもっともたくさん出た短歌があって、それを解説して、いろいろな短歌に応用できるようにするね。(ではまたね)