~しろくまの、灘の第1日目の話 9~ ことわざ・慣用句 ④

~しろくまの、灘の第1日目の話~ ことわざ・慣用句 ④
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 さて、「コト」という抽象表現のものとして、テーマを「色」でまとめてみましたができたでしょうか?

 1 青菜に塩
 2 赤子の手をひねる
★3 頭の黒いねずみ
 4 黄色い声
 5 くちばしが黄色い
 6 紅一点
 7 紺屋の白袴
 8 青は藍より出でて藍より青し(出藍の誉れ)
 9 朱に交われば赤くなる
★10 白河夜舟
 11 白羽の矢が立つ
 12 白い目でみる(白眼視)
 13 青天の霹靂
 14 青天白日
 15 赤貧洗うがごとし
 16 隣の花は赤い(隣の芝は青い)
 17 腹黒い

 ★の3、「頭の黒いねずみ」とは、人(主として身内や知り合いに対して)のことを遠回しにたとえた表現です。

 「あれ? ここに置いていたドーナツ、だれが食べたんだ!」
 みると弟がきまり悪そうな顔で視線をそらす…
 「ははぁ~ん、さては『頭の黒いねずみ』が食べやがったなぁ~」
 と、弟の顔をのぞきこんだ。

 みたいな用い方をします。年配の方などはよく、こんな言い方をされると思いますよ。保護者のみなさんのお母さんやお父さんあたりの世代は言いそうです。
 ちょっと昔の、とくに関西地方には、ふる~~い言い回しがあって、昔、塾生のある子に

 「おまえ、きつねに馬のせたみたいなやっちゃなぁ~」

 と、思わず言ってしまったら

 「え?? きつねに馬のせる??」
 「なんやそりゃ?!」
 「馬にきつねがのっているんちゃうの?」

 と、みんなからツッコミ入れられまくり… 「きつねうま」って昔は言うたんですが… 保護者のみなさんのような、若いママさんやパパさんにはもうわからないでしょうね~

 それほどではありませんが、★の10の「白河夜船」。これも知らない人は多いと思います。(「夜舟」でもよいですし「白川」でもかまいません。)

 ある人が、京都見物に行ってもいないのに、ちょっとええかっこして「京に行ったよ」と言うてしまう…
 ああ、じゃあ白河(京都の地名)には行ったかい? と、言われて、え? あ、ああ、行った行った…
 どんなとこだった?
 い、いやさ、そうそう、そのあたりはさ、ちょうど船でぐっすり寝ていて、そのとき通ったもんだからわからね~や
 と、言うてしまう…
 川じゃねーや、ばかやろ~ さぞやぐっすり寝てたことだろーよっ
 と、皮肉を言われ、笑われる。
 白河を「川」の名前だと間違えてしまってそんなことを言うてしまったわけです。
 以来、何がおきてもわからないくらいに寝入ってしまっている様を「白河夜船」と言うようになったんですね。

 「青天の霹靂」「青天白日」は「青」を「晴」にしちゃう誤答が多いので要注意。

 「色」に関することわざ、慣用句は、まだ出題されていませんから、この際、短文作成などもして、しっかり使えるようにしておきましょうか。

 さらに「コト」で言いますと、ことわざ・慣用句には「上」「中」「下」を含むものがけっこうあります。こういう視点での整理もおもしろいかも知れません。

【 標準問題 】 次の1~10の「ことわざ」の(  )にあてはまる「上」「中」「下」という文字を入れよ。

1 石の(  )にも三年
2 一葉落ちて天(  )の秋を知る
3 柳の(  )のどじょう
4 井の(  )のかわず大海を知らず
5 縁の(  )の力持ち
6 火(  )の栗をひろう
7 (  )手の手から水が漏る
8 忙(  )閑あり
9 目の(  )のたんこぶ

【 発展問題 】 次の1~7の(   )にあてはまる「慣用句」には、「上」「中」「下」のいずれかあるいは複数使用されています。それぞれの(   )にあてはまる「慣用句」を答えなさい。

1 火事だぞ、という声で、場内は(   )の大騒ぎとなった。
2 家のカギをちゃんとしめたかどうか心配になって(   )で授業を聞いていた。
3 ひきょうもの! そんなきたない手を使うとは! 武士の(   )やつだ!
4 高速道路も無料、高校も無償、みんなはうれしいかもしれないが、財源が無いならそんなの(   )の空論だ。
5 ひさしぶりに友人の家をおとすれると、(   )もてなしを受けた。
6 解決のめどが立たない問題は、しばらく(   )にしよう。
7 ひろっていた子猫を(   )ほどかわいがっている。

 さて、熟語はあらためてまとめますが、実は、慣用句やことわざとして使用される四字熟語もたくさんあります。

 「理路整然と」話す 「一騎当千」の強者  「油断大敵だ」

 などなど… そういう四字熟語で「上・中・下」をふくむものをまとめてみました。ちょっと灘風にしてみたのでチャレンジしてみてください。

【 発展問題 】 次のa~dの空欄にあてはまる漢字を入れて四字熟語を完成し、その意味を後から選びなさい。

 a □中□□
 b □□□下
 c □下□□
 d □□□中

 ア なこうどのこと
 イ 予想したことがことごとく当たる
 ウ 考える手がかりもなく、わからぬままに色々やってみる
 エ ようすが急に変わって一気に終わりに近づく 
 
 この他にも「三日天下」「天下太平」「無我夢中」「五里霧中」などがあります。

 さてさて、今回は問題演習を少し多く入れてみました。「上・中・下」がある以上、「大・小」「長・短」「右・左」などをふくむ「ことわざ」「慣用句」「四字熟語」も是非、まとめておいてくださいね。

 演習ばかりで疲れたぞっ という方もおられると思うので…

 むか~し、もともとのことわざや慣用句を変容した、へんな冊子があったんですよね… 探したのですが残念ながら見つからないのですよ。塾生に見せたらけっこー喜んでいました。おぼえているヤツを紹介すると…

 猫にこんばんは
 馬の耳がブツブツ
 寝耳にミミズ
 痛いの痛いの屯田兵
 犬もある毛が坊主には無い
 仏の顔に三度笠

 まったく意味がわかりません…

 でも、前に大阪の地下鉄にのっていたら、なんだこりゃ? という広告がありました。
 利用促進、制度紹介、乗車マナー啓発のための「みんなのコトワザ!」シリーズは、けっこうコピーライティングとしてはイケてた気がします。兵庫県や京都府の方、関東の方などは、知らないと思うので紹介しておきたいと思います。

【 番外編問題 】 平成20年の大阪市営地下鉄のつり広告に用いられたことわざは、もともとのことわざを変えたものです。それぞれもとのことわざを答えなさい。

1 乗れん! にゴリ押し   (駆け込み乗車はおやめください)
2 イスの上に もう3人!  (座席をつめてお座りください)
3 亀の甲よりエコの功    (環境にやさしい市営交通)
4 立つ時、後に残さず    (お忘れものにご注意)
5 論より情報        (「バス接近情報」をご利用ください)
6 笑うカードには福来たる  (便利でお得なカード乗車券をご利用ください)
7 デンワ、急ぎ?      (車内での携帯電話のご利用については、マナーをお守りください)
8 “進め”の波だ~     (明けましておめでとうございます)
9 ムリに通れば出入りは必混む(整列乗車にご協力くだささい)

 それぞれ動物たちの絵も描かれていて、なかなかおもしろい漫画でした。

 ちなみに平成18年度は「交通局の小噺シリーズ」。ねずっち以前から市営交通局は先取りしてましたね~
 平成19年度は「ご協力 果&菜」 果&菜で、ください、と読むわけですな。野菜や果物を使ったダジャレばかり…
 平成21年度は「交通局でレトロ劇場」… これは… 個人的には好きなのですが、何とも言えません…

 関東の方は、関西に来られたなら、是非、大阪市営地下鉄をご利用ください。広告見たら、力抜けます…
(次回に続く)

外の人 について

中学受験・関西・エデュ・そして某掲示板(w 全ての所でマッチしない「外の人」です。 数年後には中学受験だけは真っ只中にはなると思います。 下の子が動き回る前にと勢いで作りました。
カテゴリー: しろくまさんの技術講座, 入試問題研究 タグ: , パーマリンク

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