~そして、また、入試が始まる~ ① 中学入試の「社会」の話 (その1)

~そして、また、入試が始まる~ ① 中学入試の「社会」の話 (その1)

 また、新しい学年が始まります。新しい「始まり」は希望もありますが、ちょっとした不安もありますよね。
 これから何回かにわけて、「ちょっとした不安」の話をしていきたいと思います。

 最初のシリーズは「社会」のお話を…

 なんで「社会」の話を? と、お思いになられるかもですが、やはり、中学入試においては「社会」は特別な存在になりますよね。
 だって、3教科校と4教科校があって、あたりまえですが3教科なら社会は不要になる(最近は算・国・社の選択もあって、しろくまは驚いていますがまだ多数派ではないですよね)…

 志望校を選ぶとき、校風やら子どもに合ったところを探した結果、1つは4教科校でもう1つは3教科… そんな場合、社会をどうするか悩みますよね。

 けっこう学校選択の「迷い」に「社会」をどうするか… というのは、現実的な悩みになります。

 第1志望校が3教科校だが、併願や第2志望校が4教科校である。でも、第1志望に偏差値はちょっと足りない… 3教科がんばらせたら届きそうだが、届かない場合、第2志望には「社会」が必要… 入試の直前に社会を急に始めても間に合わない…

 教科には「特性」が当然あります。

 算数は「継続的・発展的」特性が強い教科といえます。

 つまり、小1~小6までを、6段階に分類し、小3の算数が小1よりも簡単なことは、まずありません。また、小3の算数ができないのに小6の算数が解けるわけがありません。
 ですから、学習を継続的に進めなくてはなりませんし、発達段階に合わせてやるべき内容を深化していく必要があります。

 ですから、算数は少しでもよいから毎日、あるレベルをクリアしたら次の段階へ(基本→応用→発展)、と、学習していく、というのが受験算数の常態です。
 
 社会はどうでしょう… まず、3教科である、と、考えてもよいですよね。

 「歴史」「地理」「公民」

 現行の教育制度では、小5で「地理」、小6で「歴史・公民」の学習を行うことになっています。検定教科書は小5も小6も上下巻の2冊。つまり、小5と小6で計4冊の教材を仕上げていくことになります。

 では、小3や小4の内容は、入試には出ないのか? そんなことはありません。

 ひとことで申し上げますと、小3・小4は「地域」に関する学習をします。

 「自分たちの住んでいる身近な地域」

 どうでしょう。過去問をみられると、「大阪に関するもの」「京都に関するもの」「神戸に関するもの」など、けっこう地域性の高い問題ありますよね。何もその学校がその地域にあるから出す、のではなく、「学習指導要領」に沿った「適切な」出題なんです。
 関東の学校でもこれは同様で、東京都に住んでいないとわからないような問題も出ています。「関西からの記念受験を退けるためだっ」と説明される場合もありますがそうではありません。

 その「自分たちの住んでいる身近な地域」を「何で」問うのか、というと

 「飲料水・電気・ガス・廃棄物処理」
 「災害」
 「伝統的な地場産業」

 の、3つの分野が入試ではよく出されます。

 「伝統的な工業などの地場産業の盛んな地域と地形から見て特色ある地域を含めて取り上げること」
 「我が国や外国には国旗があることを理解させ、それを尊重する態度を育てるように配慮すること」
 「『具体的事例』については、地域の開発、教育、文化、産業の発展に尽くした先人の中から取り上げるものとする」

 と、小3・小4の指導要領には明記されおり、各自治体では私立に関しても、入試問題にこれらに沿った「格別の配慮」を求めているところも実際にあります。(助成金などの問題もあり、著しく指導要領を逸脱した入試を出すことを私立は自粛している場合もあるんです。)
 え? なんでこんな人物が入試で出るの? 塾でも習ったことがなーい! というものは、たいてい、この「範囲」から出題されているものなのです。国旗なんかが出題されることもあるでしょう? こういう理由があるからです。

 さて、最初に申し上げた「教科の特性」ですが…

 社会は、「段階的」ですが「継続的」「発展的」ではない、という側面があります。
 だって、「地域社会」→「地理」→「歴史・公民」は、「段階」ですがスパイラルではないですよね。入試も小5で習ったものをストレートに出しますし、小3・小4の内容もストレートに出します。小5も地理、小6も地理、という学習ならば、学年が進むにつれて難度が高まりますがそうではないんです。

 算数は2階建て、3階建ての建物です。一階から二階、三階、と「登っていく」高層ビルで、一階なしに二階へは進めません。小6の算数は、背後をふりかえって「算数の発達史」を眺めることができる教科特性です。小6まで塾で算数を鍛えてきた少年少女に、ためしに小3の問題解かせてください。めっっちゃかんたんに感じるでしょう?

 でも、社会は、一階に3つの部屋があるんですよ。小6で歴史がめっちゃ得意でも、小5の地理はまっったくできません、という現象がフツーに起こります。

 中学入試終了組のみなさんで、中2くらいの方ならもうおわかりと思いますが、中1の数学や英語ができなくては中2の数学や英語はできません… 下から上に積み上げていく教科ですから…
 でも、歴史や地理は違うでしょう? 中間考査は縄文時代から古墳時代まででした、で、30点。期末考査は飛鳥時代から平安時代まで、これは100点… ありえますよね。地理も東アジアから東南アジアは勉強しなかったから40点だけど、南アジアからアフリカは80点、という具合に点数がとれます。

 だと、すると… たとえば、小5で地理を学ばなかった、としても、小6の歴史の得点が出ない、ということは無いわけです。(算数は、塾で小5の算数の勉強しないで、いきなり小6の算数をする、なんて、ちょっと無理ですよね…)

 塾は、目下のところ、2種類の方法をとっています。

A 1つは「小5は地理」「小6は歴史・公民」

 という形をとっていて、小5で勉強しなかった人は、小6で別開講の「地理の講座」を積んで下さい、という方法。

B もう1つは、「小5でも地理・歴史、小6でも地理・歴史」というスパイラル方式をとっている場合…

 まず、小3や小4の方で、社会をどうしようか… と、考えられている場合は、お通いの塾がA型かB型か、確認されておく必要が当然あります。(関東はほぼB。関西はAのところがけっこう残っています)

(次回に続く)

外の人 について

中学受験・関西・エデュ・そして某掲示板(w 全ての所でマッチしない「外の人」です。 数年後には中学受験だけは真っ只中にはなると思います。 下の子が動き回る前にと勢いで作りました。
カテゴリー: しろくまさんの技術講座, 社会 タグ: パーマリンク

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