(質問記事番号 【2160523】 投稿月 2011年6月)
~ 筑駒 記述対策 記号選択から記述へ ~
ざっと、筑駒の物語文の記号選択の設問を概観していきます。
平成二十年 大問2 問二(理由)・問五(理由)
平成十九年 大問1 問三(表現)・問五(理由)・問六(理由)
平成十八年 大問1 問一(表現)・問三(理由)
平成十七年 大問1 問一(理由)・問二(表現)
平成十五年 大問2 問二(心情)・問三(心情)・問五(心情)・問七(心情)
平成十四年 大問2 問一(表現)・問二(理由)・問三(理由)・問四(表現)
A 10年前から、記号選択がしだいに減少し、記述が増えてきている
B 心情説明は平成十五年に集中しているが、他年度ではたいへん少ない
C 理由説明題の出題頻度が高い
D 表現に関わる設問が必出
A 記述が増えている、というのは物語文に関する受験界全体の動向だと思いますよ。やはり「書いていく」というのが国語の中心… 記述を問う、というのはある意味、当然です。
B こういう出題傾向をみせる学校は、今後、心情説明が集中してまた出題される、というのがしろくまの経験から臭うところです。直前の対策は「心情説明」を念入りに、ということがいえそうです。
C うまいぐあいに、筑駒の理由説明題の記号選択はたいへん素直な平易な問いです。これは後の方法で使用する素材として最適です。
D これはまた、筑駒対策の話で念入りにしますが、関東の他中では比較的少ない出題です。関西では、甲陽がたいへん巧い、そうして筑駒にぴったりの「同傾向異学校問題」になります。ただ、記述が苦手な子がいきなり甲陽にもっていくとさっぱりわからぬ… と、なります。そこで、そのブリッジとして、奈良県に帝塚山中というところがあります。ここの二次Bの物語文が、筑駒の昔の物語文の記号選択問題のうちの「表現」に関する問いにぴったりなんですよ。こういうところはなかなか関東の塾の先生は知らない学校ですので過去問かぶりなく訓練できますよ。
さて、「わかる」から「できる」、「記号選択」から「記述」へのブリッジですが、上にあげた理由説明題だけをまず取り出します。たとえば、
平成十七年 大問1 問一
問一 「口ごもった」のはなぜですか。次の中から適当なものを一つ選び、記号で答えなさい。
ア 掃除をさぼっているのを見つかってばつが悪かったため。
イ 急に声をかけられてびっくりしてしまったため。
ウ みほこさんのえくぼに見とれてしまったため。
エ ( )
オ メダカの話題は学校ではしない約束になっていたため。
正解のエを空欄にするんですよ。そうして、今回はこの問題をやるよ、と、設問を見せてから問題文を一読させ、
「この答えはアでもなくイでもなくウでもなくオでもないんよね。だったらどんな答えがよいと思う?」
と、もっていく作戦です。他の選択肢は間違っているものだ、その理由はわかるかな? から入って、逆にそれをヒントにして「本人に正しい選択肢をつくらせる」という方法です。
「行動・事実を問われたら気持ちで答えよ」、の、原則にしたがって、しめる言葉は気持ちにさせます。関東の、しかも筑駒でしたら過去20年くらい前のものまで手に入りますよね? この方法で「記号選択問題」を利用して記述の訓練をしていく、という方法はどうでしょうか? なにせ筑駒の先生自身の作成の記号選択問題の活用ですから、着眼点やまとめ方、など身につけるには最適です。
「わかるけど、こんな文章書けない」という感想が出たらむしろ前に進めています。なんども申しますが国語の解答力の一つは「違和感の発見力」です。まちがえた選択肢をヒントに記述を考える、という作業を間に挟んで訓練していくのはよい方法だと思います。
塾で過去問は念入りにする、という場合は、さきほどの帝塚山中のもの、それから神戸女学院中の物語文の記号選択を同じ方法で改編してやっていく、というのもよい方法ですよ。
とりあえず、こういうところから取り組んでみられればどうでしょうか?
何か追加質問があればどうぞ。